佐賀県の端っこ。ほとんど福岡県との県境で川の中洲にビール工場がありました。
※この記事ではブルワリー訪問以外の内容が多くなっています
アームストロングでは佐賀県産の二条麦の栽培から製麦、醸造、製品化までの工程を全て完結しているという噂を聞きつけたので是非話を聞いてみようと訪問してみました。
元々の経営母体がコトブキテクレックスという鉄製のタンクなどを作っている会社なので、設備関係で知っている方もいるのではないでしょうか。
訪問したのはいいんだけど入り口が分からない。写真の建物に近づくときもそもそも正面玄関が工場市有地です感が凄くて入っていくの結構迷いました。
ここまで来て後には引けないってことで意を決してガラガラ〜
「すみません…ビール関係でお伺いしたことがあって来ました…」
普通に仕事中だったと思うのですが、偶然目があってしまって対応してくれたのは醸造部の方。本当に突然押しかけてしまってすみません。
わざわざ事務所の中に通してもらって半ば面接のような対面スタイルでお話を聞いていただきました。
そもそもなぜ製麦に興味を持っているのかというと、昨今の原料高騰における国産麦芽の需要について思うことがあったのがひとつ。
そして、ビールの醸造を全部自己で完結させようとすると必ず通らなければいけない工程であるからもうちょと深く知りたいなと思ったのがふたつ。
あとは親戚の土地で放置されている畑を何かに利用できないかとは常々考えていたというのがざっくりした理由。
佐賀県は昔から二条麦の収穫量日本一クラスなので、そこでビール作りをはじめるのは必然かとは思うのですが、なぜか佐賀にはマイクロブルワリーが少ない。その代わり大手キリンビールの福岡工場が製麦をやっていたりもします。
実際にひとつの小さなブルワリーが年間で仕込めるだけの麦芽を得るにはどのくらいの広さの畑が必要なのか突っ込んだ質問もしてみたのですが、畑の管理などは農協がやっているので実際にこれくらいという話は具体的には把握はしていないとのこと。それでも満足に麦芽をストックしたり、他の会社に売ったりするのであれば畑の大きさよりも設備面を充実させないといけないので装置産業ですよという話でした。
そうか。
余った土地で麦作りまくってメイドインジャパンでブランド化してたくさんのブルワリーに売れるだけの麦芽を作るには広大な土地だけではなくて大手レベルの設備投資ができないと話にならないってことか。
話は外れちゃうのですが、昔から農家人口はどんどん減ってますよね。どうしようどうしようと世間的に騒がれることのないままなんでも輸入すればいいみたいな外交政治が当たり前になっていて、限界集落はそのまま消えろと言われんばかりに日本は進んでいます。
日本人は優しいのでお隣の国に苗を渡しちゃって勝手にブランド化されたなんてニュースもたまにみます。
都市部節電しろとかソーラー入れろとかそれをやる前に農業ってものが儲かるんだって思わせてくれる補助などあればもっと若い世代も参入するとは思うのですけど。
で、ビールっていうのはそもそも農業です。原料のほとんどは畑からニョキニョキ生えてきたものを使いますし、山から流れてきた水も使いますし、酵母なんて最悪その辺に浮遊しています。よくファームハウスエールなんて言われているものも味のことを指すのではなく、農家さんが作っていたビールのことを指しているなんていう歴史もあります。セゾンとも言いますね。というかセゾンですね。
このクラフトビールブームでホップ栽培などもどんどん加速してはいると思いますし、そもそも麦なんてたくさん農家さんいて、土地もあるんだからちゃんとした指導があれば良い仕事になるとは思うんです。
日本人は真面目でこだわりも強いので最強の原料生産ができるとは思うのですが、ビール作りに使うには輸入麦芽の方が成分的に適しているかもしれないという話もありました。
ブルワリーが増えれば増えるほど、ほとんどを輸入に頼っている現状にちょっと不安を感じてしまったりもします。ビールに限ったことではないですが、地産地消の基盤がもっと増えないといけないのかもしれないなぁというのは都会を離れていろんな土地を見てきて感じることでもあったりします。
そこでアームストロング醸造所は佐賀県麦100%でのビール仕込みを考えているようで、購入させてもらいました。
味の感想としてはちょっと若かったかな。この手のビールをボトル詰すぐに開けちゃうのはちょっともったいない感じはした。
ちなみに工場では現地販売の準備段階なのでいきなり押しかけても買えない場合があります。どこで買えるのかは…どこなんでしょう?まだ始まったばかりのようで、調べてみたら公式発表より前に買わせてもらった様子。
本当にありがとうございます!
今後、もっともっと規模のデカい地産地消系ブルワリーができることを心から願っています。
最後に写真をいくつか
今後の動向に期待です!
外部リンク:佐賀アームストロング醸造所フェイスブック