朝から飲んでる人がやたら多い県民性を感じるも、クラフトブルワリーは佐賀県に次ぐ少なさの高知県。
高知市から山に向かって車で1時間とちょっと。1時間ならばまあ余裕かも。
というわけにはいかなかった。
仁淀川町というエリアに入ると日本とは思えないような、山の斜面に家が建ちならび、まるでジブリ映画に出てきそうな光景が目に入る。さながらマチュピチュのようとも言える。
本当にこんなところにブルワリーがあるのかという細い林道や崖っぷちを進むと綺麗な小川がお出迎え。
こんなところに本当にブルワリーが?
その目で確認するまでやはり信じることができません。
でもありました。
広いテラスにおしゃれなブルーハウス。袋を穴に放り込むあのゲームもあります。
不便な場所にあるブルワリー選手権優勝候補です。周りにあるのは民家とローカル宿泊施設とキャンプ場と自然のみ。
ほとんどの人は天気が良ければ外を利用していて、天気が悪いと…通行止めになる可能性もあるような…ここは、ムカイブルーイングのタップルーム、BLUE BREW TAPROOM。
地元のビール識者からはムカイさんの愛称で親しまれています。看板の目立ち方からついついBLUE BREW BREWINGなのではと思った方!…同じ感性です(笑)早とちりですね。
元々高知には縁もゆかりもなかったというムカイさん。縁あって高知での開業を薦めてくれた方がいたらしく、大前提として街中で営業するつもりはなかったという考え方も相まって仁淀川町での開業に至ったみたい。
大自然に囲まれた場所で造ったビールはいかに!
XYWZ?数学的な何かを感じさせますが、とりあえず牛乳瓶みたいなグラスがとてもかわいいです!
地元にゆかりのあるネーミングセンスが面白いのはもちろんなのですが、ビールのバランスが非常に秀逸。
綺麗に作られております。
近年流行っているエクストリームビアを飲み慣れた方が忘れているかもしれないこのバランス。静かなるこだわりをひしひしと感じさせます。
副原料が仁淀川町のものを使用したビールが多いのも最高の地産地消で素敵ですが、その使い方が本当に素敵で是非現地で味わってほしいブルワリー。
取材とか地元のおばちゃま達が結構来店していて、ちょうどケグ交換のタイミングになった時に面白いものをみました。
スルスルとロープが垂れてきて
ブルーパブで出すビールの冷蔵庫が上開きなので無理に持ち上げて腰を痛めないための優しさ装置。
結構どうでもいいところ見てるでしょ?
で、ビールに戻って。せっかくなら酸っぱいやつをと!あった!
原材料に蜂蜜が?
いえ。入ってません。
一体どういうことなのか。
生の蜂蜜を規定分量グラスの底に垂らし、そのグラスにサワーエールを注ぐ。カクテルといえばカクテルなんだけど、これがまた面白い。
ビールの温度くらいじゃなかなか溶けないんですよ蜂蜜が。ゆっくり飲んで最後の方にやっと溶けるかなって感じ。
まずベースとなるサワーエールがそもそも美味い。このままバレルに入れましょう!そう叫びたくなるくらいのイースト感、ドライなスパイシーさとでも言いましょうか。
普通の人ならあまり多くは飲めないかもしれないこのサワーに蜜がゆっくり溶けて甘みと酸味が混ざり合う。
ご主人がこだわり抜いた酸味と、徐々に変化していく甘みとのグラデーションを楽しみます。
外販はとてもじゃないけどできないとのことなので、現地まで飲みに行くしかないですよ!
山奥ってだけでとりあえず訪問してしまった自分を呪いたくなるくらいブルワリーとしての質が高いムカイブルーイング。
車くらいしか行く方法がないのだけどカーナビを頼りにすると通行止めと案内される場合があるのでご注意。ちゃんと道の看板を見ていくと通行できるか否かが書いてあります。ナビを信用したばかりに危うくこられなくなるところだったお客様もいたくらいです。
高知市と愛媛県松山市のちょうど間に位置しているので四国ビールツアーをお考えの方はぜひ行ってみてください!
外部リンク:ムカイブルーイングオフィシャルサイト