美味しいビール飲もうね!

あのビールが「クラフト」ではなかったという話。

こんにちは。beergeek.jpです。

今回は「クラフトビールとは何か?」について書きたいと思います。

クラフトビールの定義についてはTwitterなどでも度々論議されており、実に色んな考えの方がいるのだと感じさせられる今日この頃です。

この記事ではクラフトビールとは何かについて答えを出すつもりですが、あくまでbeergeek.jpの独断と偏見によるものなのでその点だけご理解ください。

クラフトビールの定義はハッキリしていない。

さて、クラフトビール。

年々身近な存在として認識されつつあり、一度でも名前を聞いたことがある方も増えてきているのではないでしょうか?

しかしながらクラフトビールとは何かについて、ここ日本ではこれといった答えがない状態です。

つまり、

クラフトビールというものの定義がはっきりしていない。

ということになります。

あれはクラフトだ!いやそれは違う!なんていう些細な論議もビールを飲みながらの会話としては非常に興味深いものがあります。

そのビールが美味しいならばクラフトなのかクラフトでないのかなんて実はどうでもいい話なのですが、そうなると今回の記事がここで終わってしまうので、しっかりとクラフトビールとは何かを紐解いていきたいと思います。

ちなみに今回は「日本におけるクラフトビールの定義」の話です。

でははじめます。クラフトビールとは一体何なのでしょうか?

クラフトビールとはその味を指すのか?

「クラフトビールって美味しいね!」というような声、聞いたことありませんか?

ではクラフトビールというのはその味のことを言うのだろうか。

答えは否。

ビールの味わいにはその昔から「スタイル」というジャンル分けのようなものが存在しており、これに関しては全世界共通と言って良いものです。

細かく分類すると150種ほどのビアスタイルが存在しますが、「クラフトビール味」と言うスタイルは存在していません。

ビールがスタイルに準じて美味しいかどうかは、鮮度であったりそのスタイルによって現れてはいけないダメな香りや味の有無で決まります。

個人の好みで美味しいかどうかを決めることも重要ですが、味そのものがクラフトビールを定義するものではありません。

クラフトビールは伝統性であるか?

日本においては90年代の地ビール期を経て00年代から10年代、現在にかけて徐々にクラフトビールという言葉が使われるようになったようにも感じます。

しかし地ビールという言葉が消滅してクラフトビールになったわけではありません。

そもそも地ビールとクラフトビールは似たものとして混同してもナシではないのですが別物です。地ビールを敢えてカタカナ表記するとローカルビールです。地元とか地域という意味合いです。

クラフトとは「技巧、工芸」などの意味合いがあるので、まずはその点を押さえておきたいところです。

では、クラフトビールという言葉を最近になって聞くようになったからといって古くからあるビールをひとまとめに「クラフトビールではない」というのは少し違います。

新旧問わず技巧を凝らしたビールを造っている人はいますから新しいからといってクラフトであると定義づけることはできません。

クラフトビールとは醸造所の規模によるものなのか?

これはかなり正解に近づきます。

ブルワリーの規模が大きな大手ビール会社か、小さな町のビール工場か。

この区別はクラフトビールを語る上で非常に重要なポイントであり、本場アメリカにおいては「クラフトブルワリーとは【スモールブルワリーであること】」と定義のひとつとして定めているほどです。

ただ、アメリカの定義をそのまま日本に持ち込むことはできません。

規模感が違いますからね。

アメリカ国内で小さいとされているブルワリーの規模は日本においては中大手レベルの規模である場合もあり、国土の広さ、人口の差、ブルワリーの数などは国によって様々なので、日本に限らずアメリカの定義をそのまま持ち込むのは不可能であると言えます。

では日本独自の規模的なルールはあるのかというと、ひとつ基準はあります。

日本で醸造免許を取得する際に、最低このくらいは醸造できる設備がないとダメですよといった最低ラインがあります。年間最低醸造量と検索すると結構情報出てきますよ。

その最低ラインで稼働しているブルワリーは紛れもないスモールブルワリーと言えますが、ではどこからがどこまでがスモールの基準かと言われると…どうなんでしょう。知っている方いたら教えてください。

ブルワリーの規模という点はクラフトビールを定義するために非常に重要な要因になることは間違い無いのですが、もう少しだけ何かが足りないような、そんな気がしなくもありません。

クラフトビールはブルワリーの思想や価値観で決まるのか?

非常に難しい問題になります。

「当社はクラフトビールブルワリーなので。」と言われてしまえばそのビールはクラフトビールなのだし、明らかにクラフトビールを彷彿させる事業をしていても「うちはそういう名前にとらわれたくないのでクラフトではありません」と言われて終えばクラフトビールと言ってはいけないということも…。

今回は日本におけるクラフトビールの定義の話なので、ブルワリーサイドの考え方やこだわりは一旦おいておくことにしますが、この「こだわり」という部分はビールの面白さを語る上では非常に重要なポイントになるので頭の片隅には入れておきたいとことです。

さて、ここまでの話をまとめると、

クラフトビールとはその味ではなく、ビール会社の新旧よりも設備や会社の規模が大きく関係し、且つこだわりが云々。

と言ったところですが全然纏まっていません。困りました。

ではここからは違う視点からクラフトビールというものについて考えてみたいと思います。

クラフトビールは何かに似ている。

beergeek.jpでは発足当時より「ビールと音楽はイコールである」と訴え続けているので、だとすれば音楽に置き換えてみれば自ずとクラフトビールとは何かについてもわかってくるのでは?と考えました。

まず、クラフトビールの対になる言葉を考えてみます。

クラフトビールが規模の小さいものでこだわり云々というものならば、大きくてこだわりよりもビジネス色が強いもの、つまり「大手ビール」が対になる言葉ではないでしょうか。

日本ではアサヒ、キリン、サッポロ、サントリーなどが代表格として世界的にも知名度があります。

少し強引ですが、その大手ビールをそのまま音楽に置き換えてみると「大手レコード会社」となる…ことにしましょう。

日本で言うとソニーだとかエイベックスだとかキングレコードだとか。よく聞く会社がそれに当てはまります。

そういった大手レコード会社に所属をして音楽を作っているアーティスト立ちを人は「メジャーアーティスト」と呼びます。

ではその逆と言えば

インディーズアーティストか!!

聞いたことがある方もいると思います。つまりインディーズミュージックの背景を探るとクラフトビールとは何かについてもわかってくるのではと閃いた次第です。

インディーズミュージックといっても様々ですが、前述の対比で説明すると「大手レコード会社に属さないミュージシャンのプロダクション全般」を指すので、その幅はあまりに広いのです。

セルフプロデュースでメジャー顔負けの活動をするインディーミュージシャンもいれば、自宅で趣味程度に音楽を作っている人もまたインディーミュージシャンと言えます。自称でいいんです。

ビールに関しても同じように当てはめることができ、自費でプロレベルの設備を整えているブルワリーもあれば、東急ハンズなどで買えるブルーイングキットで細々醸造している人も、どちらもインディーブルワーです。

ビール醸造には免許制度があるのでプロとアマの垣根は法的にはっきりしていますけどね。

インターネットが当たり前になったことで情報が手に入り、設備投資もしやすくなったおかげで多くの人がクオリティの高いプロダクションをすることができるのはビールも音楽も同じ。時代の流れです。

その昔、ミュージシャンになるといったらメジャーアーティストになって音楽でしっかり食べていけるようになることが世間一般の常識だったように思いますが、今は違います。

必ずしもメジャーデビューすることが音楽活動ではないし、方向性の違いからインディーズへと舞い戻るアーティストもいます。

「メジャーだけが正義でインディーは意味のない下の存在である」という価値観はもう忘れるべき古い考え方なのではと個人的には感じます。

自宅の6畳間から世界に向けたコンテンツを発信できる世の中ですからね。

つまりそういうことです。

時代が、テクノロジーの進化が、コミュニケーションや情報の発信源が個人レベルになった今だからこそ、多種多様の音楽やビールが多数の人に伝わるようになった。という話。

その影響こそが近年にみる音楽ジャンルの細分化、ビアスタイルの細分化に繋がっているということは誰しも納得していただけるはず。世の中には色んな人に向けた色んなアプローチで溢れているんです。

大手会社が出したあのビールについて

ここでちょっと具体的な例をひとつ。先日、キリンから「これぞクラフトビール」と銘打って発売されたとある商品、みなさんはもう飲みましたか?

今までの話を踏まえるとその商品は「果たしてクラフトビールなの??」という疑問しか感じません。クラフトビールというワードがなんの説明になっているのかがよくわかりません。「これぞIPA!!」とかならわかるんですけどね。

それでもクラフトビールという言葉を使うというのは、インディーズでじわじわと認知されている有名なワードに目をつけ大手会社がそれを流用したように見えてしまうのは気のせいでしょうか?

大手会社って大手であるビッグであることがそもそもの売りなんだからなんかセコく感じちゃうんですよね。これは個人的な意見。

クラフトビールという言葉を安売りするな。というのも個人的な意見ですけど。

キリンの戦略は中途半端で何もプラスになってなかったと感じるのですが、かたやアサヒも同時期に新商品を出したことを覚えていますか?

スーパードライという一番有名なビールの製造理念は変えずに缶の形状を変えて新しい飲み方を提案しましたね。蓋が上部でポコーンってあくやつ。大ヒットでした。

大手ビールなんてそれでいいんです。売ったほうが勝ちなんだから。売れるから大手なんだから。

なぜ売れるのかを考えた時に低価格という要因が真っ先に浮かびますが、クラフトビールという名のものが低価格で売られた時、ただでさえ高いとされている小さいブルワリーのビールに誰が飛びつくでしょうか。そういった業界全体へのマイナス点を感じてしまうのは事実です。

あのビールが実はクラフトビールではなかった?

大手ビール会社が作る誰もが知っている銘柄についての話は一旦終了。では、キリンビールと業務提携したあのブルワリーのビールは一体どういう認識をすべきなのか。

クラフトビールという名前を聞いたことがある方のほとんどは聞いたことがあるかもしれません。みなさんご存知、

ヤッホーブルーイングのよなよなエール

よなよなエールといえばクラフトビールそのものであると思っている方、非常に多いかと思います。

実はヤッホーブルーイングはキリンビールと業務提携しており、よなよなエールがキリンビールの設備で醸造されているというのは有名な話。

ここで、クラフトビールとは何かという話に戻ります。

今まで何かと書いてきましたが、それを語るために一番重要であるワードを知る必要があります。

INDEPENDENT

インディペンデント。独立しているとか自主的なという意味です。

インディーズの語源もこのインディペンデントからきています。

この独立している、インディペンデントであるという要素。これこそがクラフトビールを定義するにあたり一番重要かつ、世界的にも差異のない価値観なのではないかとbeergeek.jpでは考えます。

となると…

ヤッホーブルーイングはキリンと業務提携をしているので…

よなよなエールはクラフトビールではない!

ということになってしまいます。まさかよなよなエールがクラフトビールじゃなかったなんて。

反対意見もかなりあると思います。

beergeek.jpが考える日本におけるクラフトビールとは何か?という定義においては当てはまらないということです。「独立性」の捉え方の問題です。

こうやってビールの記事で「クラフトビールじゃないよね」などと否定的なことを書くとどうしてもネガティブなイメージを持たれるかもしれませんが、ここで話をまた音楽に戻します。

インディーアーティストがメジャーデビューをした!

よなよなエールのこの現象はまさにそういうこと。ついによなよなエールはメジャーデビューをしたんです。

ビールをよく知らない人の目にも留まる大チャンスを物にした。すごいことです。実際にコンビニでよなよなエールが平然と買えるというのはかなりのことですからね。

クラフトビールとして販売していたものを否定するような物言いでしたが、脱クラフトをして成功を収めたと思っているので悪気はありません。

クラフトビールだからといって無条件で全てが美味しいわけではないし、大手ビールだからと言ってこだわりがないものと一蹴するのも違います。

「クラフトである」というのはあくまで指標のひとつでしかないということをハッキリと提言したいと思います。

音楽ファン的な目線でいえば、クラフトビール愛好家というのは単に小さなライブハウスにもよく行きますと言っているようなもので、同じ音楽好きビール好きならば大小関わらずみんな仲間。

よりニッチでコアな仲間がいるから大きなものに巻かれすぎず、幅広く小さいコミュニティに属したりして、その小さなコミュニティを一方でクラフトと呼んでいるだけにすぎません。

クラフトを名乗るというのはその会社がどういう立ち位置にいるのか、どれだけニッチなことにこだわりと誇りを持っているのかを知るための目印。

そういう小さな居場所が好きで、それを目的に行動している人が年々増えているというだけの話なのです。昔は選択肢があまりなかったですしね。どの分野でも。

そもそも「クラフトビール」って…

クラフトビールという言葉について。

あまり日常的にその言葉を発する事って無いように思います。

「クラフトビール飲みに行こうよ!」「美味しいクラフトビールが入荷したらしいよ!」

言います?言いません。

わざわざクラフトなんて言葉つける必要はないし、そもそもビールにはブルワリーの名前や銘柄名があるので、極力正式名称で表現したほうが良いのかなと思います。

特定のアーティストのライブを見に行くのに、今日はとあるミュージシャンのアリーナ公演を見に行くよなんて言いませんよね。ちゃんと名称を言うはず。

名前をちゃんと言う。その当たり前のリスペクトをビール業界でもさらに浸透させていくとブルワーさんも嬉しいと思うんですよね。名前だけでも覚えていってねって。

飲み手として「クラフトビール」なんてざっくりしすぎた言葉を使わずとも認識してもらえるようにブルワリーの名前、銘柄の名前を呼び広め、大手とか小規模だとかに惑わされないようにするとか、本当に美味しいビールとは一体何なのかを学んだりするとか、我々も

言語としての「脱クラフトビール」をしてもいいんじゃないでしょうか?

まとまったんじゃないでしょうかね!まとまってない?

まぁいいです。

結論。クラフトビールとは!

長々読んでくださりありがとうございました。

beergeek.jp的「日本におけるクラフトビールの定義」とは

大手会社と関わりを持たない独立したブルワリーが造るビール

のことを指します。

一行で済む話でしたね。長々本当にすみません。

クラフトかどうかの定義に惑わされることなく、美味しいビールを探求すると人生はもっと楽しくなると思うので、見た事ない銘柄にも果敢にトライしてみてください!

ガンガンお金使っていきましょう!

乾杯!