IPA専用グラスを徹底解剖

ハイクオリティワイングラスで有名なシュピゲラウからビール専用グラスがリリースされたので実際に使用してみた。

アメリカではおなじみブリュワリーであるSierra NevadaとDogfish Headのコラボレーショングラスとして開発されたその名も「IPA Glass」。IPA専用グラスということでビール好きにとってはかなり気になる商品なのではないだろうか。

なぜIPA専用なのかは後に触れるとして、まずは形状から。

 

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何も知らない人が見たらただのユニークな形のグラスである。背の高いワイングラスの下部に不思議な形状がくっ付いたようなルックスであり、厚みはUSパイントグラスと比べるとかなり薄く感じる。

 

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とぐろのようなこの部分に大きな秘密が隠されているので順番にひも解いていきたいと思う。

 

まずは持ち方。

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持ちやすさとしてはどのグラスよりも容易。とぐろのような下部は手の小さい女性でもしっかりグリップできるサイズになっており滑って落としてしまうリスクも軽減される。力強く握り込む必要はないが、妙に気どった持ち方をする必要はない(写真右)。

持ち方は自由だが左の写真のように持つことには大きな意味がある。

家庭用冷蔵庫で冷やしたビールや冷蔵設備の小さいパブで注がれるビールは比較的冷たい温度で注がれる場合が多いが、IPAの特徴であるホップの香りを楽しむためには注ぎたてより若干温度が上がったほうが良い。

そこで写真のように握ることで手の温もりがビールに伝わり、温度が上昇しアロマがたつという仕組みである。少し薄手のグラスなのには手の温度が伝わりやすいようにという計算された設計が隠れているのかもしれない。

 

次に実際に飲んだ時のビールの動きに注目してみたい。

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ビールを飲んでいる時にグラスが傾いたイメージ。

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そしてビールを一口飲み、グラスが元にもどるイメージ。

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グラスを元の水平時に戻した時、それは起こる。

写真の中の「ここ。」と書いた部分。この角度が大きなポイント。

ここにはっきりとした角度があることでこの部分を通過するビールに勢いが生じ、まるで池に大きな石を落とした時のような水流が起こる。そして激しく揺さぶられたビールは下部のとぐろの部分でトルネードを起こす。他のどのグラスでも若干の渦ができるが、このIPAグラスの渦の立ちかたは強烈。間違いなくこのとぐろ形状がトルネードを助長させている。

そして、とぐろの部分が上に向かって円型に若干すぼまっているのも非常に良い設計である。水道に繋いだホースの先端を摘んで細くすると出てくる水の勢いが増すのと似たように、傾けて飲もうとしたときにすぼまった形状の影響でビールの速度が増し、揺さぶられる。

ビールが激しく混ざり合うことで、よりアロマ(匂い)を感じることができる。

テイスティングをするときにグラスをクルクルとまわして嗅ぐという動作がグラスを傾けて戻すだけで同等以上の効果があるように感じた。

 

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 複雑な水流はアロマを引き立てる

 

上で説明した水流の動きは実際に飲んでいる時にもしっかりと確認することができる。

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写真は実際にグラスを傾けた時に飲み手から見えるグラス内部。

IPAグラスの特殊な形状は実際に飲んだ時に目を楽しませてくれる。グラスを傾けていくととぐろ部分の先端が顔を出し、見えなかったトンネルが出現する。この出現するトンネルは飲んだ人だけが見えるちょっとしたオマケの感想だが、上記の説明で書いてあるような水流の変化は飲み手からも確認することができる。

 

このIPAグラスはビールの量が少なくなった時でも効果を発揮し続けている。

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 残りわずかの量でも

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やはりこの角度がビールの流れる速度に勢いを発生させるので、アロマは立ちつづけるという仕組み。

 

ちなみにこのIPAグラスにUSパイント(473ml)の量を注ぐと以下の写真のようになる。

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きちっと泡を盛るスペースが確保できているのが驚きだ。泡があるほうがアロマ(匂い)がたつので、このスペースは非常に重要なポイントだと思う。

 

図解でのレポートは以上。

 

ではなぜIPAグラスと呼ばれるのだろうか。クラフトビールはアロマを感じる楽しみがあるビールなのだから何を注いでも良いのではないか。

でもそれは違う。

まずはアルコール度数の問題。

IPAよりも高い度数のビール。例えば、バーレイワイン、インペリアルスタウト。この手のスタイルのビールを一度にUSパイントサイズを飲む人はそういない。

IPAグラスは適度な量を注ぐことで力を発揮するので少量すぎてもいけない。IPAグラスminiでも発売されれば試す価値はあるかもしれないが…。

そして香りの問題。

ビールには様々な香りがある。ホッピー、モルティ、イースティ等。数ある表現の中でホップの香りというものはアメリカンクラフトビールの特徴として外すことができない。

近頃ベルジャンスタイルが流行っているとはいえ、やはりアメリカンホップを大量に使用したエールはどのブルワリーでも醸造している場合がおおい。ホップというものはアメリカンクラフトビールにおいてのひとつの象徴であると言える。どの国よりもホップヘッドが多いのはまぎれも無い事実。

ではなぜIPA専用かということの結論として、やはりアメリカのクラフトビールシーンのトレンドとして「IPA」という言葉はひとつの重要なワードなので命名するにはちょうどいい塩梅だったのではないだろうか。

適当な見解だがそう考える以外の答えは今のところ見つからない。

 

難しい話は抜きにして、ホッピーなビールはちゃんとホップのアロマを感じながら楽しみましょうというメッセージが込められたグラスなのだと思う。

 

ビアギークそしてホップヘッドの皆様も手に入れる機会があればどうかこの記事を思い出して頂きたい。

 

※以上のレポートはほとんどが個人的な見解によるものです。

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